豊田市

年度 令和6年度
事業名 豊田小原和紙の情報発信と創造活動拠点づくり事業
事業規模 採択額 3百万円(総事業費 1.3千万円)
事業のポイント 伝統工芸とアートの融合による魅力の創出

主な事業内容

主な事業内容

事業の概要

豊田市小原和紙のふるさとがペーパーアートの制作、発表、情報発信の拠点となるよう、紙に関するアートや文化の展覧会やシンポジウムなどを開催する。また、ここで制作するアートが小原地域の伝統や文化に裏打ちされた価値の高いものとするため、和紙原料の地産化研究に取り組む。これらを将来にわたり発展させ、受け継ぐための土壌づくりとしてアウトリーチの展開を主体とした情報発信や学校と連携したワークショップなどを開催する。

事業の実施体制

事業の実施体制

関係者インタビュー

<お話をお伺いした方>

<豊田市>
地域振興部小原支所和紙のふるさと 学芸員:冨樫 朗氏、安藤 源一郎氏
<アートディレクター>
山岸 大祐氏
(インタビュー実施:R7.11)

関係者ロゴ(PAPER_CONNECT_TOYOTA2024)

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事業のポイント

Q
令和6年度事業の概要についてご紹介いただきたい。
A
伝統工芸の小原和紙について、関心や需要・知名度の低下、小原和紙工芸の作家の高齢化や和紙原料の不足、生業として成り立ちにくいという現状が地域の伝統文化の継承の妨げとなっている。そのため、知名度向上と関心喚起を重点的に、和紙という素材の可能性を広げたり新たな芸術表現を示す取組を行っている。小原地区以外の地域でのアウトリーチの展開や、「小原和紙のふるさと」の館外での展覧会など、市内で小原和紙に触れられる機会を創出。また、アーティストに小原和紙を使った制作発表をしてもらい、これまでの小原和紙工芸のイメージとは異なる取組を行うことで、元となる伝統的な工芸の手法や作品にも関心が寄せられている。
Q
どのような専門人材を起用されているか。また、その活用と育成についてお教えいただきたい。
A
アートディレクターに山岸 大祐氏、また市の学芸・工芸員、豊田小原和紙工芸会、小原コウゾ育成会など、和紙関係団体にご助力いただいている。山岸氏は豊田市主催の「とよたまちなか芸術祭」という中心市街地での回遊型アートイベントでもディレクターとして運営に関わっていただいており、個人でも市内で展覧会等を企画運営している。「とよたまちなか芸術祭」は人材育成的な側面もあり、ラーニングプログラムを複数開催。そこで受講した若い担い手が運営側に回ったり、展覧会を実施する事例も出ている。発表の機会を増やすことが大事と考えて活動しているため、アーティストも企画者側も育っていくよう意識している。

ポイント①:伝統工芸を用いた少年院との連携

Q
取組のひとつに、愛知少年院で職業指導として和紙を扱っているというところで、どのように連携されているかお伺いしたい。
A
少年院での職業指導自体は事業以前から行っている取組で、もとは小原の工芸作家が40年以上前から少年院に出向き作品制作を指導していた。近年、市から和紙の原材料を栽培しないか提案し、栽培及び処理してつくられた「こうぞ」は市内の小中学校の卒業証書の原料に使われている。
少年院の在院生が社会性を学んだり職に手を付けるための取組で、院外での発表の機会は限定的だったが、文化庁の助成により実施計画に組み込んだことで、多くの人に知ってもらえるよう成果発表を行うようになった。少年院で職業指導として和紙工芸をやっていると知らない市民の方も多かったが、卒業証書の原料の話なども含め、徐々に浸透しつつある。少年院側では和紙工芸以外にも作ったものを販売などしていたが、そのクオリティが上がったと聞いており、新たな商品開発に取り組みたいという意見も聞いている。例として、これまで飾って鑑賞するような作品(絵画等)を制作していたがランプなどのインテリアを作るようにもなっており、販売したいという意向も出ているとのこと。

ポイント②:伝統工芸の認知によって広がる魅力・新たな展開の模索

Q
和紙文化の取組への地域住民の反応は。
A
小原地区は市内北部にあるが、市内南部では小原和紙の認知が薄い。そのことから年ごとに市内の地区を転々としてアウトリーチや展覧会を開催し、市内全域に渡っての情報発信に取り組んでいる。まずは知ってもらうという関心喚起を重点的にしたことで、一定の成果はあったように思う。
普段和紙に触れていないアーティストが制作をすることで、既存の使い方とは異なる手法が提案され、どうすれば実現できるか試行錯誤するなかで新しい技術や表現が成立することもあった。そのため、関わった職人や作家からもアーティストとの協働について好意的に感じていただいている。小原はアート作品を作っているところなので、目に見えて何らかの商品が開発されたといったことは少ないが、アウトリーチや展覧会に参加してくださったアーティストに対してこういうインテリアを作ってほしいという依頼が来るなど、新たな展開に結びついている例もある。
認知度や関心が薄れているというのは、捉え方によってはチャンスでもある。小原和紙は高いポテンシャルを持っているので、知らない人に広げていくことで新たな魅力や今後の可能性を広げることにも繋がると考えている。

ポイント③:アーティストによって見出される伝統工芸の可能性

Q
展覧会などのアーティストの選定はどのように行っておられるか。
A
アーティストは山岸氏が展覧会等で作品を観ていたり、別のプロジェクトで面識を得た方のなかから、和紙を使って作品を作ってほしいと思う方や、和紙の可能性を広げる魅力的な作品を作ってくれそうな方を選定している。制作後の発表の機会まで用意しているわけではないが、小原和紙のふるさとや「とよたまちなか芸術祭」の中で展示をされるなど、今のところうまく市内の展示に繋がっている。今年(令和7年度)も建築家を出展者に選定した。今後和紙の消費がどう増えていくか考えるにあたって、デザインや建築といった活用の可能性も探ることが必要だと考えており、選定対象の幅を広げて関わってもらうようにしている。

※文化庁が団体にインタビューした内容をもとに再構成しています
※事業内容、体制等はインタビュー当時の情報です